【衛生】
1 誤。我が国の浄水量に対して、普通沈殿 - 緩速ろ過の占める割合は4%である。薬品沈殿 - 急速ろ過は、普通沈殿 -
緩速ろ過よりも水の処理能力が高く、施設が省スペースであるなどの理由から、我が国における水道水の浄化法で最も利用されている。
2 誤。緩速ろ過は、普通沈殿池で沈殿処理された水を砂のろ過層をゆっくり通過させる方法である。砂のろ過層には好気性微生物からなるろ過膜(生物膜)が形成され、生物酸化や吸着が行われるため、有機物の除去率は高い。それに対し急速ろ過は、生物膜が形成されないため、緩速ろ過のような有機物の酸化や微生物の除去は期待できない。
3 正。薬品沈殿は、原水中の浮遊物質を凝集剤の注入によって沈殿除去する方法である。凝集剤は、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩が用いられ、これらは原水中のアルカリ成分との反応や、生石灰などのアルカリ剤を加えてpH
7 -
8に調整すると、正電荷をもつ水酸化アルミニウムコロイドを生成する。これが負電荷をもつ懸濁粒子と結合して電気的に中和されたフロック(凝集塊)を形成し、原水中の浮遊物が沈殿する。
4 誤。急速ろ過は、薬品沈殿によって処理した水を砂ろ過する方法で、砂表面に沈着したゲル状フロックによる吸着と、ろ別による物理的効果が期待できる。緩速ろ過のような生物化学的作用は期待できない。
5 正。上水道における浄水の目的は、原水を飲料水としての利用に適するように処理することである。塩素消毒のみの方式、緩速ろ過方式、急速ろ過方式、膜ろ過方式、高度処理(特殊浄水法)を含む方式があり、いずれの方式を採用する場合でも、消毒設備を設けて塩素剤による消毒を行うことが義務付けられている。