【実務】
設問中の[A]はタモキシフェン、[B]はリュープロレリン酢酸塩である。
[A]は、「子宮体がんのリスクを上げるため、定期的な検査を行うよう患者に指導した。」と記載があることから、タモキシフェンであると推定される。タモキシフェンは、子宮内膜のエストロゲン受容体刺激作用を示すため、子宮体がん、子宮肉腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、子宮内膜症が見られることがあるので、投与中及び投与終了後の患者に検査を行うことが望ましいとされている。
一方、[B]は、「ほてりやのぼせ、抑うつなどの更年期症状が見られることがあると患者に説明した。」と記載があることから、リュープロレリン酢酸塩であると推定される。リュープロレリン酢酸塩は、下垂体ゴナドトロピン放出ホルモン(Gn-RH)受容体への持続刺激により脱感作を起こし、ゴナドトロピンの遊離を抑制させ、エストロゲン分泌を抑制させるため、副作用として、ほてり、のぼせなどの低エストロゲン症状や、更年期障害様のうつ状態などを起こすことがある。
また、リュープロレリン酢酸塩は、4週に1回3.75 mg、12週に1回11.25 mg、又は24週に1回22.5
mgの用量で、皮下注射により閉経前乳がんに使用される。処方欄に注射用3.75
mgで4週間ごとに1回皮下注射との記載があることからも、[B]は、リュープロレリン酢酸塩であると推定される。なお、レトロゾールは経口投与により閉経後乳がん、トラスツズマブは点滴静注によりHER2過剰発現が確認された乳がん、テガフールは経口・直腸投与により乳がんの自覚的・他覚的症状の寛解に用いられる。
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