【実務】
本症例において、血清カリウム値の推移、血圧の高値、だるさとむくみの訴え及び処方1に配合されるグリチルリチン酸より、本患者は薬剤性の偽アルドステロン症を生じていると考えられる。偽アルドステロン症では低カリウム血症を伴う高血圧症、低カリウム血性ミオパチーによると思われる四肢の脱力、血圧上昇に伴う頭重感などが主症状である。
1 正。薬剤性の偽アルドステロン症の治療としては、推定原因医薬品の服用を中止することが第一である。そのため、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠の投与中止が提案として最も優先順位が高い。
2 誤。塩化カリウム徐放錠は、低カリウム血症の改善を目的として追加で処方されたと考えられる。服用中止により血清カリウム値の低下が予想され、グリチルリチン酸による偽アルドステロン症を増悪させるおそれがあるため適切な提案ではない。
3 誤。オルメサルタン
メドキソミル錠は降圧作用に加え、血清カリウム値を上昇させる。服用中止による血圧上昇及び血清カリウム値の低下が予想され、グリチルリチン酸による偽アルドステロン症を増悪させるおそれがあるため適切な提案ではない。
4 誤。薬剤性の偽アルドステロン症の治療として抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンの投与が有効であり、適切な対応が行われれば予後は良好である。ただし、推定原因医薬品の服用を中止することが第一であるため、本問における最も優先順位の高い提案ではない。
5 誤。フロセミドの使用により血清カリウム値の低下が予想され、グリチルリチン酸による偽アルドステロン症を増悪させるおそれがあるため適切な提案ではない。
〇