【実務】
アミノグリコシド系抗生物質であるアルベカシンは、トラフ値が高くなると腎毒性や聴覚毒性などを起こしやすくなるため、投与設計としては血中濃度を一度、一定濃度よりも低くする必要がある。また、本剤は濃度依存性の抗菌効果を示し、ピーク値を十分に上げていれば低い濃度が続いても効果が持続することが知られている。したがって、TDMではピーク値とトラフ値の2点採血が行われる。
アルベカシンは、臨床分離株が感受性と判断されるMICが2μg/mLの株を想定した場合、15 -
20μg/mLを目標ピーク値とすることは有効性を高める上で良いと考えられている。また、腎毒性や聴覚毒性を防ぐためにトラフ値は2μg/mL未満とすることが望ましい(ただし、1
- 5μg/mLまで濃度依存的な腎機能障害発生が認められる場合がある)とされている。
本患者では定常状態におけるピーク値が15μg/mL、トラフ値が3.5μg/mLとなっており、トラフ値が高いため、医師への提案としては、トラフ値が低くなるように、1回投与量を変えずに投与間隔を延ばすことが望ましい。
〇
ピーク,トラフの関係とか細かいことまでは知らなかった.