正解は 1、4

解説

【法規】
1 正。同一の薬剤を投与しても効果や副作用が発生する確率は対象患者によって異なる可能性があるため、目的や状況に応じて条件設定をし、シミュレーションを行う。
2 誤。薬剤経済分析を臨床研究結果から行う場合に、臨床研究に費用がかかることやデータ収集に長期間を要することが一つの問題点となる。シミュレーションモデルは、治療の流れや疾患の長期的な予後を確率論的に構築し、推計を行うためのものであるため、臨床研究と一体化してデータを収集する必要はない。
3 誤。モデルの構築やデータ収集においては、患者背景が異なるためバイアスが発生する場合がある。バイアスを調整するために、データ収集を開始する前段階である研究計画を立案する時点で、バイアスの制御を考慮したデザインを立てることが重要である。
4 正。記述どおり。急性疾患の分析には、決定樹(判断樹)モデルがよく使われ、起こりうるシナリオと確率によってツリーを構築する。決定樹(判断樹)モデルによってある治療を行った場合に、確率的に期待できる費用や生存年数を推計することができる。一方、慢性疾患の分析では、マルコフモデルがよく使われる。マルコフモデルは、観察期間複数の状態間(長期疾患の予後)を、いくつかのステージに分類し、患者が一定の期間にそのステージ間をどのように進んでいくかをシミュレーションする。
5 誤。モデル分析は、イベントが発生する確率値をもとに、判断樹等を作成し、シミュレーションを行って期待費用と期待効果を算出する方法である。臨床試験を実施するよりも、費用や時間は大幅に削減できる。