正解は 3、5

解説

【薬剤】
1 誤。糸球体の基底膜を構成する糖タンパク質は陰性に荷電しており、電気的反発力により酸性薬物(アニオン性薬物)は塩基性薬物(カチオン性薬物)よりろ過されにくい。
2 誤。クレアチニンは血漿タンパク質と結合せず(fpは約1)、ほぼ糸球体ろ過のみにより排泄される(分泌、再吸収はほぼ受けない)。よって、クレアチニンの腎クリアランス(クレアチニンクリアランス)は糸球体ろ過速度(GFR)に相当する。薬物の腎クリアランスは、糸球体ろ過クリアランス(GFR・fp)、分泌クリアランス、再吸収率によって決まるものであり、血漿タンパク質と結合しない、分泌及び再吸収を受けないという前提がない限り、必ずしも腎クリアランスとクレアチニンクリアランスが等しくなるとはいえない。
3 正。フェノールスルホンフタレイン(PSP)は、腎機能検査薬として使用される。PSP溶液を静脈内に投与すると、投与15分後に投与量の25-50%(平均35%)が排泄される。この速やかなPSPの尿中排泄は、糸球体ろ過に加え、尿細管分泌が関与するためである。
4 誤。OAT1(有機アニオン輸送系1:organic anion transporters 1)は近位尿細管上皮細胞の側底膜に存在し、血液中の有機アニオンを細胞内に能動的に取り込む。
5 正。薬物は一般に尿細管において単純拡散によって再吸収されるため、pH分配仮説があてはまる。したがって、弱塩基性薬物は尿のpHが上昇すると分子形の割合が増加するため、尿細管再吸収が増大し、腎クリアランスは低下する。