正解は 3、5

解説

【薬理】
 WHO方式がん性疼痛治療法における鎮痛薬の使用法は、「鎮痛薬使用の5原則」に基づき、「WHO三段階除痛ラダー」に従ってその効力の順に選択する。本問は、第一段階の非オピオイド鎮痛薬であるロキソプロフェンナトリウムを使用しても効果が得られないことから、第二段階のオピオイド鎮痛薬(例:コデイン)、さらに中等度以上の痛みに対して第三段階のオピオイド鎮痛薬(例:モルヒネ)を選択する。
 モルヒネ、コデイン、メサドンなどのオピオイド鎮痛薬は、中枢内のμ受容体を刺激して鎮痛作用を示す。また、セレコキシブは、選択的COX-2阻害薬であり、プロスタグランジン(PG)の産生を抑制して鎮痛作用等を示す。

1 誤。モルヒネなどのオピオイドは、麻薬性鎮痛薬であり、中脳や延髄に作用して下行性痛覚抑制系神経を活性化し、脊髄後角における痛覚伝導を抑制する。
2 誤。セレコキシブに関する記述である。セレコキシブは、発熱に関与する視床下部のPGE2の産生を抑制し、解熱作用を示す。ただし、本剤は前問において追加処方薬とされる薬物ではない。
3 正。コデインに関する記述である。コデインは、肝臓の薬物代謝酵素であるCYP2D6によりO-脱メチル化を受けてモルヒネに変換され、鎮痛作用を示す。
4 誤。モルヒネは、延髄化学受容器引き金帯(CTZ)のD2受容体を刺激し、催吐作用を示す。
5 正。モルヒネやコデインは、コリン作動性神経終末のμ受容体を刺激し、アセチルコリン遊離抑制による消化管ぜん動運動抑制作用を示す。また、腸管壁からのセロトニン遊離促進による消化管平滑筋緊張亢進作用も示すため、便秘を起こすことがある。