【実務】
アテローム血栓性脳梗塞の慢性期治療(再発抑制)には、抗血小板薬や抗凝固薬などが用いられる。また、退院直前の検査データが入院時と大きな変化が見られず、クレアチニンクリアランスが20
mL/minであることから高度の腎障害が認められる。そのため、各薬物の適応だけでなく腎機能を考慮し薬物を選択する必要がある。
1 適切。シロスタゾールは、心原性脳塞栓症を除く脳梗塞発症後の再発抑制に適応をもつ。また、シロスタゾールは、腎障害のある患者に対しては慎重に投与する必要がある。
2 不適切。ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の適応は、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制であり、脳梗塞発症後の再発抑制に適応をもたないことから、この患者への投与は適切ではない。また、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩は、透析患者を含む高度の腎障害(クレアチニンクリアランス30
mL/min未満)のある患者に対しては禁忌であることからも、この患者への投与は適切ではない。
3 適切。チクロピジン塩酸塩は、虚血性脳血管障害〔一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞〕に伴う血栓・塞栓の治療に適応をもつ。また、チクロピジン塩酸塩は、腎障害のある患者に対する投与も可能である。
4 適切。低用量アスピリンは、虚血性脳血管障害〔一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞〕に伴う血栓・塞栓形成の抑制に適応をもつ。また、低用量アスピリンは、腎障害のある患者に対しては慎重に投与する必要がある。
5 適切。クロピドグレル硫酸塩は、心原性脳塞栓症を除く虚血性脳血管障害の再発抑制に適応をもつ。また、クロピドグレル硫酸塩は、重篤な腎障害のある患者に対しては慎重に投与する必要がある。
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