【薬剤】
母胎血と胎児血は血液胎盤関門で隔てられている。多くの薬物の胎盤透過は、pH分配仮説に従った単純拡散によって行われるため、分子量が小さく脂溶性の高い薬物ほど、母体から胎児へ移行しやすい。そのため水溶性薬物、イオン形薬物、高分子化合物(分子量1,000以上)は膜透過性が乏しく、母体から胎児への移行性が低い。しかし、グルコースやアミノ酸のような生体必須物質は、トランスポーターを介するため母体から胎児への移行性が高い。
1 正。インスリンは、分子量が約5,800と大きいため、胎盤を通過できず胎児へ移行しにくい。
2 誤。エタノールは、分子量が約46と小さいため、細胞膜の透過性が高く、胎児へ移行する。
3 誤。グルコースは、胎盤膜にある促進拡散型のグルコーストランスポーター(GLUT1)により母体から供給されるため、胎児への移行性が高い。
4 誤。チオペンタールは、分子形の脂溶性が高く単純拡散で移行するため、胎児への移行性が高い。
5 誤。バルプロ酸は、母体血液中ではほとんどがイオン形として存在するが、能動輸送型のモノカルボン酸トランスポーターにより移行するため、胎児への移行性が高い。
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