正解は 1、2

解説

1 正。薬物が血漿中から組織に移行する経路には、細胞を透過する経細胞輸送と細胞間部分の空隙を通過する細胞間隙輸送がある。血液脳関門では、実体である脳毛細血管内皮細胞が密着結合で強く連結し、細胞間隙輸送による透過性が極めて低い。
2 正。一般に血漿タンパク質と結合していない非結合形薬物のみが毛細血管を透過して組織内に分布する。したがって、血漿中非結合形分率の増大により脳内に移行する薬物が増加するため、血漿中薬物濃度に対する脳内薬物濃度の比は上昇する。
3 誤。血漿と脳組織間で薬物分布が平衡状態にあるとき、単純拡散のみで血液脳関門を透過する薬物では、血漿中非結合形濃度と脳内非結合形濃度は等しくなる。
4 誤。血液脳関門に発現するP-糖タンパク質MDR1は、脳毛細血管内皮細胞の血管側細胞膜に発現し、細胞内に移行した基質となる薬物を血液中に排出している。そのため、基質となる薬物の血漿中非結合形濃度に対する脳内薬物濃度の比を低下させる。
5 誤。カルビドパは、血液脳関門を透過せず、末梢でドパ脱炭酸酵素を阻害することで、レボドパからドパミンへの変換を抑える。これにより、レボドパの脳内移行率が高まる。また、レボドパは中性アミノ酸トランスポーターLAT1を介して脳内に移行する。