【物理】
血糖値の測定原理は、酵素電極法と酵素比色法に大別される。酵素電極法とは、血液中のグルコースを電極上に固定した特定の酵素と反応させ、生成物に電圧をかけた際に流れる電流によりグルコース量を測定する方法である。酵素の基質特性の高い反応を利用することで、試料の前処理をすることなく目的成分を選択的に測定することができる。用いる酵素には、グルコース脱水素酵素(グルコースデヒドロゲナーゼ)あるいはグルコース酸化酵素(グルコースオキシダーゼ)がある。また、酵素比色法とは、血液中のグルコースを特定の酵素と反応させ、反応物の色(光吸収)を測定し、グルコース量を測定する方法である。
1 誤。血糖値の測定法には、電極を用いるものがあり、グルコース脱水素酵素やグルコース酸化酵素を用いて血中グルコース量を測定する。グルコース脱水素酵素を用いる血糖値の測定では、グルコース以外の糖(マルトースなど)があると、実際の血糖値より高い値を示すことがあるため、注意が必要である。以下に、グルコース脱水素酵素を用いた場合とグルコース酸化酵素を用いた場合の特徴を示す。
2 正。グルコースは、グルコース酸化酵素の作用により過酸化水素を生成する。グルコース1分子から過酸化水素H2O2
1分子が生成される。生じたH2O2は電極で酸化され、電流(電極への電子の流れ)が発生する。この電流の値は試料溶液中のグルコースの濃度に依存するため、電流の値からグルコース濃度を求めることができる。以下に、グルコース酸化酵素を用いた酵素電極法の模式図を示す。
3 誤。グルコース酸化酵素を用いる酵素比色法では、通常、波長505~570 nmの光を用いる。
4 正。果汁中には糖分が含まれており、血液を採取する際、穿刺した箇所で血液と混じるため、実際の血糖値より高い値を示すことがある。よって、果物をむいたり、糖分が含まれている食物を触ったあとは、必ず流水で手洗いを行ったのち、採血する。
5 誤。酵素電極法では、酵素がグルコースと反応した際に生成する過酸化水素を検出する