【実務】
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、バソプレシン(抗利尿ホルモン)を産生する異所性ホルモン産生腫瘍の出現や下垂体後葉からのバソプレシンの分泌促進作用などにより、主に集合管における水の再吸収が促進される。これにより、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム高値、高張尿などの所見が見られる。
本患者が服用している薬剤のうち、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるパロキセチン錠は重大な副作用としてSIADHが知られており、主に高齢者に現れることが報告されている。そのため、パロキセチン錠の服用中に異常が認められた場合には、投与を中止し、水分摂取の制限や塩化ナトリウムの補充など、適切な処置を行うこととされている。
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