【実務】
震災などによる被災地域の住民には、医療機関や薬局の一部負担金や入院時の食費・居住費等の減免を受けられる場合があるが、在宅訪問薬剤管理を行うだけでは一部負担金の減免は受けられない。
薬剤師は、在宅医療を提供するときに、残薬管理や体温・血圧といったバイタルサインの測定、コンプライアンスの向上目的で剤形変更の提案、口腔ケア用スポンジブラシの提供などを実施できるが、医行為を行うことはできない。
なお、医行為とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼしうる行為とされ、原則、医師にのみ認められている行為である。
医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等において、医行為に該当しない(薬剤師が行うことも可能である)が、医行為であるかないかの疑義が生じやすい行為とされるものを以下に示す。
■医行為に該当しない主な行為
1 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること
2 自動血圧測定器により血圧を測定すること
3 新生児以外の者であって入院治療の必要がないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメータを装着すること
4 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で汚れたガーゼの交換を含む。)
5 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族に伝えている場合に、事前の本人又は家族の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医薬品の使用を介助すること。具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること。
(1)患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること
(2)副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと
(3)内用薬については誤嚥の可能性、坐薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと
(出典:「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」)
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