正解は 1、4

解説

【化学】1回のβ酸化により脂肪酸のカルボキシ末端からアセチル基が切断され、1分子のアセチルCoA(f)と炭素が2つ減少した脂肪酸アシルCoA(e)が生成する。

1 正。補酵素アはFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)である。化合物a(脂肪酸アシルCoA)からb(α,β-不飽和アシルCoA)への反応では、脂肪酸アシルCoAのα位及びβ位がFADにより酸化されてα,β-不飽和アシルCoAが生成する。この際、FADは還元され、FADH2へと変換される。よって、本反応には補酵素ア(FAD)が必要である。
2 誤。化合物b(α,β-不飽和アシルCoA)からc(β-ヒドロキシアシルCoA)への反応では、α,β-不飽和アシルCoAのβ炭素に水が共役付加(1,4-付加)している。よって、酸化反応ではない。
3 誤。補酵素イはチアミン二リン酸(TPP)である。化合物c(β-ヒドロキシアシルCoA)からd(β-ケトアシルCoA)への反応では、β-ヒドロキシアシルCoAのヒドロキシ基がニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)により酸化されている。この際、NAD+は還元されてNADHへと変換されるが、補酵素イ(TPP)を必要としない。なお、TPPは糖代謝に関与するピルビン酸デヒドロゲナーゼなどの補酵素である。
4 正。化合物d(β-ケトアシルCoA)からe及びf(アセチルCoA)への反応では、β-ケトアシルCoAの3位カルボニル基にCoASHが求核攻撃を起こす。本反応はクライゼン縮合の逆反応(逆クライゼン縮合)である。
5 誤。α-水素の酸性度は、共役塩基の負電荷が隣接するカルボニル基と共鳴するほど高い。化合物dの共役塩基の負電荷は、隣接する2つのカルボニル基との共鳴により安定化するが、化合物aの共役塩基の負電荷は隣接するカルボニル基が1つしかないため、化合物dのα-水素の方が酸性度が高い。