【実務】
本患者は、眼精疲労と肩こりの改善を目的とした一般用医薬品の購入を目的に来局しており、服用中のレボドパ錠の代謝をふまえた一般用医薬品の提案をする必要がある。レボドパ(ドパミンの前駆物質)は、脳内でピリドキサールリン酸(PLP、ビタミンB6の補酵素型)を補酵素とする芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素によりドパミンに代謝され薬効を発揮する。しかし、ビタミンB6を含む医薬品を併用した場合、末梢でのレボドパの脱炭酸反応が促進し、脳内作用部位への到達量が減少することで、レボドパの作用が減弱する可能性がある。
1 不適切。この一般用医薬品は、ピリドキサールリン酸エステル水和物(ビタミンB6の補酵素型)を含むため、本患者が服用するとレボドパの作用が減弱する可能性がある。そのため、本医薬品は本患者へ販売する医薬品として適切ではない。
2 不適切。この一般用医薬品は、NSAIDsであるイブプロフェン、去痰作用をもつブロムヘキシン、鎮咳作用をもつジヒドロコデインリン酸塩などを含むことから、かぜの諸症状を改善する医薬品と判断できる。本患者の主訴は、眼精疲労と肩こりであり、販売する医薬品として適切ではない。
3 適切。この一般用医薬品は、チアミン硝化物(ビタミンB1の補酵素型)やコンドロイチン硫酸エステルナトリウムなどを含むため、神経痛や関節痛、筋肉痛(肩こり、腰痛など)、眼精疲労などの症状の緩和が期待できる。そのため、本医薬品は本患者へ販売する医薬品として適切である。
4 適切。この一般用医薬品は、神経痛の改善が期待できるベンフォチアミン(ビタミンB1の誘導体)やシアノコバラミン(ビタミンB12)、痛みや炎症を抑える作用のあるボウイ乾燥エキスを含むため、関節痛、筋肉痛(肩こり、腰痛など)、神経痛、眼精疲労などの症状の緩和が期待できる。そのため、本医薬品は本患者へ販売する医薬品として適切である。
5 不適切。この一般用医薬品は、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)を含むため、本患者が服用するとレボドパの作用が減弱する可能性がある。そのため、本医薬品は本患者へ販売する医薬品として適切ではない。