【薬理】
1 正。トルバプタンに関する記述である。トルバプタンは、集合管においてV2受容体を遮断し、バソプレシンによる水の再吸収を抑制して電解質の排泄を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す。本剤の水利尿作用により血液濃縮を生じ、副作用として高ナトリウム血症を起こす可能性がある。
2 誤。スピロノラクトンに関する記述である。スピロノラクトンは、抗アルドステロン作用を有するカリウム保持性利尿薬であり、遠位尿細管から集合管においてアルドステロン受容体を遮断し、Na+-K+交換系を抑制して利尿作用を示す。本剤の作用によりNa+及び水の排泄を促進し、K+の排泄を抑制するため、副作用として高カリウム血症を引き起こす可能性がある。
3 誤。ロサルタンに関する記述である。ロサルタンは、経口投与後速やかに吸収され、その一部が主代謝物であるカルボン酸体に変換される。ロサルタン及びカルボン酸体は、AT1受容体を選択的に遮断する。本剤は、副作用として腎機能の悪化を起こすおそれがあるため、血清クレアチニンが2.5
mg/dL以上の場合には、投与量を減らすなど注意をする必要がある。また、本剤は副作用として高カリウム血症を起こすおそれがあり、スピロノラクトンとの併用には注意をする必要がある。
4 誤。ヘンレ係蹄上行脚におけるNa+-K+-2Cl-共輸送系を抑制して利尿作用を示す薬物として、ループ利尿薬であるフロセミドなどがあり、浮腫を合併したネフローゼ症候群に対して使用が推奨されている。なお、ループ利尿薬の副作用として、低カリウム血症を起こすことがある。
5 誤。ワルファリンに関する記述である。ワルファリンは、ビタミンKに拮抗し、肝臓におけるビタミンK依存性血液凝固因子(プロトロンビン、第VII、第IX、及び第X因子)の生合成を抑制して抗凝固作用及び抗血栓作用を示す。本作用により、プロトロンビン時間が延長し、副作用として出血のリスクが高まる可能性がある。