正解は 1、5

解説

【薬剤】

【病態】
1 正。同じ運動でも体にかかる負担は個人で異なるため、心拍数を運動療法時の目安として用いることがある。運動強度が低すぎると運動の効果が上がらず、反対に運動強度が強すぎると心臓に大きな負担がかかるため、年齢により異なるが、一般に適度な脈拍数の目安として100~120拍/分以内にとどめるように勧める。
2 誤。増殖性網膜症は糖尿病網膜症の1つであり、細小血管障害の結果、血流障害による組織虚血を改善するため新生血管が生じている状態である。新生血管は脆く、出血のリスクがあり、運動療法は網膜出血のリスクを上昇させることがある。そのため、増殖性網膜症による新鮮な眼底出血がある場合では、運動療法を禁止あるいは制限した方がよい。
3 誤。運動で消費するエネルギーはそれほど多くはなく、運動療法の目的はインスリン感受性の改善が主である。消費カロリー分の食事量を増やすのは不適切である。
4 誤。本患者は糖尿病の治療のためインスリン療法を行っており、食前の運動は低血糖リスクが増大するため不適切である。
5 正。インスリン感受性の低下には、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの異常(アディポネクチンの分泌低下、TNF-αの分泌亢進)が関与していると考えられている。有酸素運動により肥大脂肪細胞が減少し、インスリン感受性が増加することで血糖値が下がりやすくなるため、有酸素運動を勧めることは適切である。