【実務】
　台風や都市型集中豪雨などにより想定を超えるような雨が降った場合、道路が冠水し家屋等に浸水被害が発生する場合がある。さらにマンホール等から下水が逆流した場合には汚水が混入し感染症発生の可能性もあるため、家屋等が浸水被害に遭った場合、予防のために消毒を実施する必要がある。
１　不適切。グルタラールは広い抗菌スペクトルを示し、蒸気が呼吸器系や眼の粘膜を刺激するので、室内という閉鎖空間の消毒には適さない。
２　適切。室内の消毒の場合、皮膚への刺激性やにおいがほとんどないベンザルコニウム塩化物液（逆性石けん）が適している。なお、石けんと併用すると、消毒の効果が著しく失われるので注意が必要である。
３　不適切。ポビドンヨードは生体にも使用可能で比較的安全な消毒剤であるが、含有されるヨウ素が布類を褐色に着色することから、室内の消毒には適さない。
４　不適切。アクリノールは生体組織に刺激を与えないので創傷面の消毒等に使用されるが、衣類に付着すると黄色に着色し、脱色しにくいので室内の消毒には適さない。
５　不適切。オキシドール（過酸化水素）は毒性及び刺激性共に低い消毒剤であるが、漂白作用を有しているので室内の使用には適さない。