正解は 2、5

【実務】
 問題文より、下記のように推測することができる。
16年前:HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染判明後、抗HIV薬の服用を開始
7年前:服薬を自己判断で中止。免疫力の低下により結核罹患の可能性
6年前:結核罹患を契機に抗HIV薬の追加服用を実施
4年前:再び服薬を自己判断で中止。HIV感染症の進行による全身倦怠感の進行により抗HIV薬追加での治療が開始

1 誤。HIVは、感染初期から突然変異が非常に起こりやすく薬剤耐性が発現しやすいことから、3TCは単独投与せずに他の抗HIV薬と併用する。
2 正。活動性結核(肺結核又は肺外結核)はHIV感染症の指標疾患の1つである。本患者は抗HIV薬を自己中断したため、HIV感染症の進行により結核に罹患したと考えられる。
3 誤。AIDS(後天性免疫不全症候群)発症の特徴的な症状として全身倦怠感がある。本患者は、抗HIV薬の服薬中断後に全身倦怠感が出現したことから、HIV感染症の進行後にAIDSを発症したと考えることができる。
4 誤。HIV感染症の病期は、急性感染期、無症候期、AIDS発症期の3つに分けることできる。無症候期は平均10年持続し、この間はほとんど症状なく経過するが、ゆっくりとリンパ球数は減少している。そのため、無症候期でもHIV-RNA量やCD4陽性T細胞数の血液検査は必要である。また、無症候期における血漿中ウイルス量は予後に強く関連するため、HIV感染症の治療には無症候期のコントロールが重要である。
5 正。ラミブジン(3TC)とアバカビル硫酸塩の配合剤は、それぞれの薬物の固定用量を含有する薬剤である。そのため、ラミブジン又はアバカビル硫酸塩の用量調節が必要な患者には、個別のラミブジン製剤又はアバカビル硫酸塩を用いる。肝機能が低下した患者では、アバカビル硫酸塩の血中濃度が上昇し、副作用が発現するおそれがあるため、個々の薬剤を投与し、アバカビル硫酸塩の用量を調節する必要がある。