ビグアナイドと造影剤
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第3章 糖尿病治療薬の具体的投与法と注意点 ピグアナイド薬 より ↓
●特に腎機能障害患者に対しての使用については注意が必要であり,中等度以上の腎機能障害(男性で血清クレアチニン濃度1.5mg/dL以上,女性で1.4mg/dL以上)には投与禁忌である.
●数年前に医療現場の混乱を招いたヨード系造影剤使用との関係も重要である.ピグアナイド薬とヨード系造影剤との直接的な作用が問題となるのではなく,造影剤使用により,腎機能障害が一時的に増悪し,ピグアナイド薬の血中濃度が上昇することが原因である.
●ヨード系造影剤使用の2日前から内服を中止し,検査後も内服再開は2日後からとする.また高齢者や,腎機能低下が疑われる患者に対しては,検査後に500mL程度の補液を行うこともよい.
ヨード造影時の措置(メトホルミン) - ヨード造影時の措置〈圏内・海外ガイドライン〉 より ↓ など
eGFR 60以上ならば,ヨード造影剤を用いて検査を行う際にメトホルミンの投与を継続できる.
医学/資料/図書/腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012/p006
3 リスク・患者評価.pdf より ↓
ビグアナイド系糖尿病薬を服用している患者へのヨード造影剤投与は,乳酸アシドーシスのリスクを増加させるか?
ヨード造影剤の投与により一過性に腎機能が低下した場合,乳酸アシドーシスを発症するリスクとなる.ヨード造影剤を投与する場合には,緊急検査時を除きビグアナイド系糖尿病薬を一時的に休薬するなど,適切な処置を行うことを推奨する.
欧米のガイドラインでは,いずれにおいても腎機能などに応じた対-応指針を示しており,具体的な対
応法は異なるものの,腎機能が正常である場合, ヨード造影剤を用いた検査の前にビグアナイド系糖尿病薬の休薬を勧めるものはほとんどない(表1).